国連児童基金(ユニセフ)は9日、各国で進むソーシャルメディア(SNS)の利用年齢引き上げや子ども向け禁止措置について、「年齢制限だけでは子どもを守れず、逆効果となるリスクもある」とする声明を公表しました。世界約190の国と地域で活動する立場から、政府と企業に対し、安全設計やコンテンツ管理への投資を法的義務として強化するよう求めています。
背景には、オンライン上でのいじめや搾取、有害コンテンツへの接触が子どもの精神的健康とウェルビーイング(心身の良好な状態)に悪影響を及ぼしている現状があります。一方で、SNSは孤立した子どもにとって学びや交流、自己表現の「命綱」ともなっており、一律の禁止が迂回利用や安全性の低い無規制サービスへの流出を招くおそれがあると指摘しました。
ユニセフは、年齢制限は包括的なオンライン安全対策の一部として位置づけるべきだと強調します。政府には、年齢規制が企業の責任軽減に使われないよう、プラットフォーム設計の改善や効果的なコンテンツモデレーション(投稿管理)、権利を侵害しない年齢確認ツールの導入などを企業に義務付けることを求めました。
また、保護者や養育者に対してだけ過大な監視負担を負わせる現状を問題視し、デジタルリテラシー向上支援の必要性を訴えています。脆弱な国や紛争影響国も含め、すべての子どもが安全に学び、つながれるデジタル環境をつくるため、ユニセフは各国政府やIT企業、市民社会との連携を一層強める方針です。
【参考資料】
ユニセフ政策ノート「Drawing a Line in Digital Spaces」
ユニセフ報告書「Childhood in a digital world」
ユニセフ指針「Guidance on AI for children」
source: PR TIMES
